パーソナルツール

パワーランチ(2010/04/09) Vimの話

作者: 小見 拓 最終変更 2012年01月08日 12時01分

お昼の勉強会パワーランチ(2010/04/09)。

参考情報

Vimエディタがどのようなものか、あるいは、基本的な操作などは別の資料で。

Vimプラグインの仕組みと開発方法

Vimプラグインとは

  • Vimエディタの機能を拡張する仕組み。
  • 利用すると便利なプラグインなどは別の資料で。

Vimのファイルの構成

Vimの設定ファイル、プラグインなどの置き場所には決まりがあります。

Debian、Mac OSX環境など
$HOME/
├─ .vimrc もしくは _vimrc       vimエディタ設定ファイル(共通)
├─ .gvimrc もしくは _gvimrc     GUI用の設定ファイル
├─ .viminfo                     履歴情報などがVimエディタによって格納される。
└─ .vim/                        vimエディタの設定ファイルディレクトリ
     ├─ filetype.vim            ファイル名パターンごとに、ファイルタイプを設定したい場合に用意する。
     ├─ scripts.vim             ファイルのデータによって、ファイルタイプを設定したい場合に用意する。
     ├─ colors/                 カラースキーマ用のファイルは、このディレクトリに入れる。
     ├─ doc/                    ドキュメント用のディレクトリ。
     ├─ ftplugin/               ファイルタイププラグイン用のディレクトリ。
     ├─ indent/                 インデントスクリプト用のディレクトリ。
     ├─ plugin/                 プラグイン用のディレクトリ。プラグインは大抵このディレクトリに入れると動作する。
     ├─ syntax/                 シンタックスファイル用のディレクトリ。
     ├─ autoload/               Vimスクリプトで書かれたライブラリが置かれる。特定の書式で書くと、
     |    |                     必要になるまで、ファイルのロードが遅延される。
     |    └─ ....
     └─ after/                  このディレクトリ以下に置いたスクリプトは、システムのスクリプトが読み込まれた後、読み込まれる。
          ├─ftplugin/
          ├─indent/
          └─ ....
Windows環境
$HOME/
├─ _vimrc もしくは .vimrc       vimエディタ設定ファイル(共通)
├─ _gvimrc もしくは .gvimrc     GUI用の設定ファイル
├─ _viminfo                     履歴情報などがvimエディタによって格納される。
└─ vimfiles/                    vimエディタの設定ファイルディレクトリ
     ├─ filetype.vim            ファイル名パターンごとに、ファイルタイプを設定したい場合に用意する。
     ├─ scripts.vim             ファイルのデータによって、ファイルタイプを設定したい場合に用意する。
     ├─ colors/                 カラースキーマ用のファイルは、このディレクトリに入れる。
     ├─ ....
     ├─ ....                    以下、同じ構造。

プラグインのロード

  • 特定のディレクトリに作ったプラグインを置いておくと、勝手に読み込まれる。
  • もしくは、 :source コマンドか、 :runtime コマンドで読み込んでロードする。

Vimスクリプトの処理順

  • Vimスクリプトが記載されたファイルが読み込まれると、上からVimのコマンドが順番に実行される。
  • 文法はVimの設定ファイルと同じ。

なので、

  • コマンドを定義しておいて、そのコマンドを呼び出し時に処理を実行する。
  • イベント発生時(特定のファイルが読み込まれた時など)に、処理を実行する。
  • キーに処理をマッピングして(CTRL-Aなど)、キーが押された時に実行する。
  • あるいは、その組み合わせ。

として、プラグインの機能を作っていきます。

プラグインのサンプル

  • :view $VIMRUNTIME/plugin/tohtml.vim
" Vim plugin for converting a syntax highlighted file to HTML.
" Maintainer: Bram Moolenaar <Bram@vim.org>
" Last Change: 2003 Apr 06

" Don't do this when:
" - when 'compatible' is set
" - this plugin was already loaded
" - user commands are not available.
if !&cp && !exists(":TOhtml") && has("user_commands")
  command -range=% TOhtml :call Convert2HTML(<line1>, <line2>)

  func Convert2HTML(line1, line2)
    if a:line2 >= a:line1
      let g:html_start_line = a:line1
      let g:html_end_line = a:line2
    else
      let g:html_start_line = a:line2
      let g:html_end_line = a:line1
    endif

    runtime syntax/2html.vim

    unlet g:html_start_line
    unlet g:html_end_line
  endfunc

endif

Vimプラグインの作り方

基本的にはVimのヘルプを見て作ります。

  • プラグインの基本的な作り方について
:help usr_41
  • Vimで利用できる関数一覧。List、Dictionaryなどの操作方法。
:help eval
  • 処理のトリガーになるイベントの定義一覧
:help event
  • Vimのオプションの一覧
:help options

プラグイン作成におけるトラブル

作ったプラグインを実行したらエラーが出る
  • :help エラーコード すると、エラーの原因がわかる(かもしれない)。
:help E492
" #=> Not an editor command
" #=>
" #=> You tried to execute a command that is neither an Ex command nor
" #=> a user-defined command.
プラグインを置いたのに、読み込まれない
  • :scriptnames コマンドを叩くと、それまでにロードされたファイルの一覧が出るので、実際にロードされているかをチェックしてください。
:scriptnames
" #=> 1: C:/Users/omi/local/vim72-kaoriya-w64j/vimrc
" #=> 2: C:/Users/omi/local/vim72-kaoriya-w64j/runtime/encode_japan.vim
" #=> 3: C:/Users/omi/local/vim72-kaoriya-w64j/runtime/vimrc_example.vim
" #=> 4: C:/Users/omi/local/vim72-kaoriya-w64j/runtime/syntax/syntax.vim
" #=> 5: C:/Users/omi/local/vim72-kaoriya-w64j/runtime/syntax/synload.vim
" #=> 6: C:/Users/omi/local/vim72-kaoriya-w64j/runtime/syntax/syncolor.vim
" #=> 7: C:/Users/omi/local/vim72-kaoriya-w64j/runtime/filetype.vim
" ...
あるはずの機能が無いというエラーがでる
  • :version コマンドを叩いて、コンパイルオプションを確認。
  • +が使える機能。-が使えない機能。
:version
" #=> VIM - Vi IMproved 7.2 (2008 Aug 9, compiled Mar 25 2010 01:10:31)
" #=> MS-Windows 64 ビット GUI 版
" #=> 適用済パッチ: 1-411
" #=> Modified by koron.kaoriya@gmail.com
" #=> Compiled by koron.kaoriya@gmail.com
" #=> Big 版 with GUI.  機能の一覧 有効(+)/無効(-)
" #=> +arabic +autocmd +balloon_eval +browse ++builtin_terms +byte_offset +cindent +clientserver +clipboard +cmdline_compl
" #=> +cmdline_hist +cmdline_info +comments +cryptv +cscope +cursorshape +dialog_con_gui +diff +digraphs -dnd -ebcdic
" #=> +emacs_tags +eval +ex_extra +extra_search +farsi +file_in_path +find_in_path +float +folding -footer +gettext/dyn
" #=> ....

http://www.vim.org/ に作ったプラグインをアップロードする

ポータブルなVim設定ファイルの書き方

  • 特定の環境に依存した設定ファイルにしてしまうと、環境を移るたびに設定の手間がかかってしまう。
  • 書き方を工夫すると面倒がない。
  • ポータブルにしておくと、複数メンバで共有できる。(理想論)

vim設定ファイル(.vimrc)でハンドリングする

Vimのバージョンで分岐
  • v:versionを参照する。
  • いくつかのマシンを使っている時や、同じOSで複数Vimを入れている時などに使いやすい。
if version >= 700
    " Vim 7.0用のコード
elseif version >= 701
    " Vim 7.1用のコード
elseif version >= 702
    " Vim 7.2用のコード
endif
OSで分岐
  • has()を使う。
  • 正しい結果を返してくれなくても泣かない。
if has("unix")
    " UNIX環境用のコード
elsef has('mac')
    " Mac用のコード
elseif has("win32")
    " Windows環境用のコード
endif
GUIか、CUIかで分岐
  • gui_runningをチェックする。
if has("gui_running")
   " GUI版Vim用のコード
else
   " CUI版Vim用のコード
endif
コンパイルオプションなどで分岐
  • 同じく、has()を使う。
:version
" #=> VIM - Vi IMproved 7.2 (2008 Aug 9, compiled Mar 25 2010 01:10:31)
" #=> MS-Windows 64 ビット GUI 版
" #=> 適用済パッチ: 1-411
" #=> Modified by koron.kaoriya@gmail.com
" #=> Compiled by koron.kaoriya@gmail.com
" #=> Big 版 with GUI.  機能の一覧 有効(+)/無効(-)
" #=> +arabic +autocmd +balloon_eval +browse ++builtin_terms +byte_offset +cindent +clientserver +clipboard +cmdline_compl
" #=> +cmdline_hist +cmdline_info +comments +cryptv +cscope +cursorshape +dialog_con_gui +diff +digraphs -dnd -ebcdic
" #=> +emacs_tags +eval +ex_extra +extra_search +farsi +file_in_path +find_in_path +float +folding -footer +gettext/dyn
" #=> ....
  • clipboardが使えるか、どうかで分岐
if has("clipboard")
   " clipboardを使うコード
endif
変数で分岐
  • exists()を使う。
  • プラグインが入っているかいないか、の判断に使えることが多い。
if exists("$LANG")
   " LANG環境変数が設定されている場合のコード
endif

読み込む設定ファイル自体を切り替える

  • runtimepath オプションを設定すると、Vim設定ファイルディレクトリの位置を変更できるので、
  • 読み込むべきファイルをまとめて指定できる。
  • source コマンドで、読み込むファイルを指定できる。
小見例
  • 環境に依存する設定だけ、vimrcに記述している。
  • 残りはruntimeパスの切り替えでハンドリング。
開発環境
  • /home/omi/.vimrc
" greeユーザのVim設定ファイルを読込
source /home/gree/.vimrc

set rtp+=$HOME/.vim/kaoriya
" 開発環境にはVim7.1が入っているので、fuzzyfinderの3は動かない
set rtp+=$HOME/.vim/vim-fuzzyfinder2
set rtp+=$HOME/.vim/runtime
source $HOME/.vim/runtime/vimrc.vim

" 開発環境用のカスタム設定
syntax on
set incsearch
set noexpandtab
set iminsert=0
set foldmethod=marker
set viminfo='100,<50,s10,h,rA:,rB:
set wildmode=longest,full
ローカル環境
  • C:/Users/omi/_vimrc
set rtp+=$HOME/vimfiles/vim-fuzzyfinder3
set rtp+=$HOME/vimfiles/runtime
set rtp+=$HOME/vimfiles/spinner-vim-plugin
source $HOME/vimfiles/runtime/vimrc.vim

そもそも持ち運ぶのが面倒

  • 同期をとるのも面倒。
  • → バージョン管理ツールで管理してしまうのが良い。
  • mercurial、gitなど。

おまけ・覚えても邪魔にならない、ツール的なVimの使い方

  • 別のドキュメントで多数使い方が紹介されているので、一括操作、ビューワ的な使い方だけをご紹介。
  • less、sedコマンドのような感覚で使えるVimコマンド集。

検索

*、#検索
  • *、#を使うと、カーソル下の語を完全一致で検索できる。
 *     → 前方に検索。/<keyword>と同じ
 #     → 後方に検索。?<keyword>と同じ
  • gを付けると、部分一致で検索できる。
g*     → 前方に検索。/keywordと同じ
g#     → 後方に検索。?keywordと同じ
/、?検索
  • /、?で、ワードを指定して、検索できる。
/keyword
?keyword
  • バックスラッシュエスケープでOR、AND検索
/foo|bar     → OR検索。バックスラッシュでエスケープ。
/foo&bar     → AND検索。同じ場所でマッチしなくてはならないので、ひどく使いづらい。
  • AND検索は正規表現と組み合わせてマッチさせるか、
/.*foo&.*bar
  • :global コマンドと一緒に使います。
" fooとbarが含まれる行を置換。
:g/.*foo&.*bar/ s/foo/xxx/g
検索した行に対して置換
  • g/foo_pattern/ {command} foo_patternにマッチした行にcommandを適用
  • v/foo_pattern/ {command} foo_patternにマッチしない行にcommandを適用
" 例。検索してマッチした行に置換処理。
g/foo_pattern/ s/foo/var/g
grep
  • :vimgrep {検索ワード} {ファイル} でgrep
  • もしくは、 :vimgrep /{検索ワード}/{検索オプション} {ファイル} でgrep
:vimgrep service **/*.php
  • :copen で検索結果を表示
ジャンプリスト
  • CTRL-o カーソルの位置を一つ前の位置に移動する。
  • CTRL-i カーソルの位置を一つ後の位置に移動する。

比較

  • :diffsplit を使うと、diffの結果で比較できる。
:vert diffsplit sampleA.txt sampleB.txt
  • まったく違うファイルの一部を並べて比較したい時はscrollbindが便利。
    • :vsplit でウィンドウを分割。
    • 左右のウィンドウで比較したい箇所を並べる。
    • 左右のウィンドウで、 :set scrollbind を実行する。
    • :windo を使うと良い。(:windoは全てのウィンドウでコマンドを実行。)
:windo se scb

- 解除は左右のウィンドウで、 :set noscrollbind
- :windo を使うと楽。
:windo se noscb

変換

  • :windo:bufdo でまとめてコマンド実行できる。
" 変換したいファイルを読み込んでから
args **/*.php

" まとめて置換
:bufdo! :%s/foo/var/gc

" 終わったら、まとめて保存
:wa

外部コマンドで変換する

おまけのおまけ・アンドゥ

  • もしもの時のために覚えておくべきこと。
    • u アンドゥ
    • CTRL-r リドゥ
  • 入力 → アンドゥ → 入力すると、単純なアンドゥでは古いコードに戻れなくなる。
    • g- 古いアンドゥブランチに移動
    • g+ 新しいアンドゥブランチに移動
  • ブランチをひとつずつ戻すのは面倒なので、
    • :earlier {N}m
      • {N}分前の状態に戻す
    • :earlier {N}h
      • {N}時間前の状態に戻す
  • :earlier の賭けが失敗したら、
    • :later {N}m
      • {N}分後の状態に戻す。
    • :later {N}h
      • {N}時間後の状態に戻す。

まとめ

  • プラグインを作れると、Vimでできることが大きく広がる。
  • 設定ファイルをポータブルにすると、作業マシンがたくさんあっても平気。
  • プラグインをたくさんいれなければ、Vimは起動が速いので、ツールのように使っても問題ない。
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